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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


控室から出て電話を掛けるといつも通りの声が聞こえて、試合で張り詰めてたものから開放される気がした

もう何年もNBAにいるけど、試合では気も張ってるし疲れもするから癒しを与えてくれる存在は絶対必要だと思ってる。
今まではネロしかいなかったから声を聞いて癒されるってことはなかったけど、今はみさきもいて、声をきくだけで全身がほぐれていくのを感じる。

声も喋り方も、全てが俺を癒して解放してくれる。

さつきと進藤と大騒ぎしながら見て3月が楽しみすぎるとか言ってるけど俺の方が楽しみにしてる。
いくら日本とアメリカを行き来して仕事してるとは言え、毎回休みは取れねぇだろうし、俺はクリーブランドでみさきはロスとかNYとかDCが多くてあとはバラバラつってたから、仕事のついでに会えるって距離でもねぇんだよな。

3月まであと5か月弱か。長すぎだ…

さつきといるならネロが消した写真をまたもらおうと思って電話を代わらせた。

「もしもーし」

「この間のみさきがポッキー食ってるヤツもっかい送れ」

「お願いしますでしょ?」

「 あ?この間も言っただろ!」

「じゃああーげない」

クソッ……
腹立つ
けど貰えねぇのはもっと無理

「おねしゃす…」

「え?何?聞こえない」

フザケンナ!絶対ぇ聞こえてんだろーがよ!

「オネガイシマス…」

俺ダサすぎだろ…
でもあれが貰えんなら少しのことは我慢できる。

「どうしてそれが欲しいの?」

「ネロに消された」

「そうじゃなくてどう思ってるか聞いてるんだけど?」

何半笑いで言ってんだよ。
こっちはマジだっつーの。

「は?言わねーよ」

「……」

無視かよ
つか、なんで言わなきゃもらえねーんだよ!

「オネガイシマスは言っただろ!」

「……」

ガン無視じゃねーか…
ふざけんなよさつき。

言うまでよこさねぇつもりだと分かって溜め息が出た

「はぁ…好きだからに決まってんだろ」

自分で言っててすげぇハズい。
火神に言うのとさつきに言うのじゃ全然違う。
火神はあいつもみさきが好きだからそんなに気になんねーけどさつきはからかう気満々で聞いてくるからクソムカつく

「しょうがないなー。明日送っとく」

俺の答えに満足したのかやっと無視をやめたけど…

「は⁉明日かよ!今日送れ。そんでみさきに代われ」

「はいはい。今日は無理だけど」
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