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最愛 【黒子のバスケ】

第4章 揺れる心


side火神

シャワーから上がってリビングに戻るとテレビの音が聞こえてみさきがソファに座ってる

再生されてるだけのドラマをみさきは見てねぇ


風呂上がりの俺用に冷たい紅茶を用意してくれてあってそれを持って隣に座ると顔は相変わらず疲労が滲んでる


余計なこと言っちまったな…


眠れねぇんじゃねぇって言ったけど疲れ切った顔して立ったまま寝そうになってた奴が起きてんのは寝れねぇから以外に理由がねぇだろ?



青峰は女と長続きしているところは見たことがない。
どっちに原因があるかなんて知らねぇけど、あいつ自身は誠実に付き合っているつもりらしい
バスケより優先することがないだけで浮気はしないし、好きじゃないと思えばずるずる先延ばしにすることはねぇって言っていたから俺は信用してるしいい奴だと思ってる



みさきは恋愛をしたくねぇってのが強すぎて青峰に対する感情を必死に殺してる

恋愛なんてしようとしてするもんじゃねぇけど、敢えてしねぇなんて決めるもんでもねぇ
だけど、みさきにはそれが通じない

青峰は悪い奴じゃない。お前にトラウマを植え付けたやつとは違うんだってことを言いたくて口を開いたけど青峰の名前を出した瞬間拒絶された


目を閉じて見えない何かに抵抗するように苦しそうに、でもはっきりとした拒絶

これ以上は可哀想だ…


言いたいことはいつでも聞いてやりたくてかっこつけたけど、大丈夫か?俺…


青峰に言うなと言ったみさきの声は蚊の鳴くような小さい声だったけど“絶対”ってとこだけはすげぇ強く聞こえた気がした

言われなくても俺からは言わねぇよ


自分で伝えなきゃ意味なんてない。
第一青峰は、また聞きしたことを鵜呑みにするタイプじゃねぇ。実際に見たもの、聞いたものしか信じない。
だから俺が言っても何の意味もねぇんだよ


恋愛をずっと避けてたけど、今みさきは今回は避けられねぇって心のどこかで気づいてる


俺を引き留めてたくせに勝手に寝始めたみさきをおばさんのベッドに運んで俺も寝室に入った

綺麗に整えられたベッドと香水じゃねぇみさきのいい匂い。

理性が乱される

まぁ今更手は出さねぇけど

サイドボードに飾られた写真の、みさきが溺愛する猫のセルジオは真っ黒な体と青い目

“みさきに手を出したら許さねぇ”とでも言いたげな顔をしてる

なんか…青峰っぽいな…
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