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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


黄瀬君の差し入れと現場監督の取った長めの休憩が功を奏して、午前中のよくない雰囲気が払拭されていいペースで撮影が進む。

黄瀬君と一緒に撮影してるモデルさんは、ついこの間オーディションでグランプリを取ったばかりで緊張のせいか表情が硬くてチェックが通らない。

「もっと自然に笑って!」

「固い固い!」

「目線は黄瀬くんだよ!」


カメラマンの声に更に表情が硬くなってカメラマンがカメラを置いた。


「一回休憩」


撮影が中断して、待ってるモデルさんたちの中には不満の声を漏らす人もいた。

「ちょっといい?」

キリっとした声が響いてそっちを向くと、アンナさん新人さんに話しかけてる。

不満が聞こえてるせいか怒られると思っているのか泣きそうな顔になったけど…


「これ見て」

「え?これなんですか?!」

「その顔。それでいいの。顔を作るんじゃなくてイメージを作るの。好きな人いたことあるでしょ?黄瀬だと思わずに好きな人といたときに一番幸せだったことを思い出すの」

「はい」

さすが。
さっきまで追い込まれてた新人さんの表情が嘘のように明るくなった。

「再開します」

ディレクターの声が響いて黄瀬君と新人モデルさんの撮影が再開された。

鏡越しに黄瀬君がネックレスを付けてあげるカットで、嬉しそうに黄瀬君を見上げるモデルさん。

主役はネックレスだけど構想だって大事な要素。

「OK!チェック入るよ」

アドバイスが良かったのか、あっという間に撮影が終わってチェックに移る。

新人さんのカットはこれ1枚だけだけど初仕事としてはすごい大きな仕事。
黄瀬君の相手をやりたいモデルさんたちは大勢いるし、黄瀬君が写ってるだけで売り上げも凄い。

「さすがアンナさん」
アンナさんとは指名をもらってから何回も仕事をさせてもらったから結構喋るようになった。

「あたしも新人のときは緊張してばっかで全然OK出なかったから、気持ちわかる」

「アンナさんって優しくてホント好きです」

「黒須さんだって優しいじゃん。初めて一緒に仕事した時、あたしの体調気遣ってヘアセットわざとゆっくりしてくれたの嬉しかった。あたしのマネが黒須さんの事結構気に入ってるけど、あなたじゃ無理って言っておいたから」

「え、ありがとうございます?でいいのかな?」


なんでアンナさんそんなこと言ったんだろ…
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