第8章 それぞれの場所
お出迎えに行ったママの腰に手を回して、何度もキスをしながら二人でリビングに戻ってきた。
「ただいま」
「おかえりパパ。ただいま」
「おかえり。みさき」
いつもこうやってハグしてくれるパパはすごく大きいと思ってたけど、青峰君の方が大きい。
パパの帰宅時間に合わせて、ママが出来たてのご飯を並べてくれた。
家族揃ってご飯を食べるのは本当に久しぶり。
「仕事順調か?」
「うん!NYのコレクションもまずまず合格だったかな。あ、大我のCMあたしがメイクしたから見てね」
「CMはタイミング合わないと見れないじゃない」
「そうだけど結構流れるから。あ、それからね、5月はミラノのコレクションの現場で指名貰えた」
「すごいな。しっかりやれよ」
色んなことを話しながら食事を終えて、片付けだけはお手伝いして一緒に終わらせた。
当たり前のようにママを抱っこするパパと、当たり前のように抱っこされてるママ。
リビングのソファはそれなりに大きなサイズなのに、使ってるスペースなんてあたし合わせて2人分だけ。
セルジオはあたしの膝でゴロゴロ喉を鳴らして時々鳴く。
お耳を掻いてほしいか、おしりをトントンして欲しいか、顎の下を撫でて欲しいかのどれか。
今は前足でお耳を触ってるから多分お耳。
セルジオの要望に応えてみみを掻くと、目を細めてちょっと笑ってるみたいな顔をしてる。
「一緒にお風呂入る?」
お水があんまり好きじゃない。
お風呂って単語にあっという間にゴロゴロ言わなくなって、あたしの膝に乗ったまましっかり香箱座りして動かないぞって顔で見てる。
甘えん坊で可愛くて、いつもあたしの帰りを待っててくれるセルジオ。
少しお口の周りに白い毛が混じってきて、うちに来たばっかりの頃より渋いダンディな猫ちゃんになってきてる。