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最愛 【黒子のバスケ】

第3章 確信


side火神

車から降りる青峰にちょこんと会釈するみさきを見て、何とも言えない苦い気持ちになったけど、不思議と苛立ちはなかった。

手を挙げて挨拶を返す青峰に、唇を緩く噛んで目を泳がせるみさきの頬が赤いのは勘違いではねぇ。

みさきは照れると下唇を緩く噛む
小さいころからずっとそうだった癖は大人になっても変わらねぇ


それでもすぐに表情を引き締めるのは、恋愛をしたくねぇってみさきの気持ちの確かな表れ。


頼むからそんな顔しないでくれ…

いくら俺が願ってもずっと変わらねぇみさきの気持ち

みさきの気持ちを変えてやれるのは俺じゃない
多分、いや多分じゃねぇ

認めざるを得ねぇ


みさきの気持ちを変えてやれんのは青峰だ


笑うことも泣くことも怒ることもないとき、いつもみさきが無表情で無感情に繰り返した言葉

「恋愛なんて脳内物質の異常分泌が原因で気のせいに過ぎないの。思い通りにならなければすぐに冷めて憎しみすら生むんだからあたしは恋愛なんてしない。そんな無駄なこと絶対しない」

何百回も聞いたせいで覚えちまった。
 
深呼吸をしてクラッチバックを握る手に力が入る所を見ると、口には出さなくても同じことを言い聞かせてんだろうな…



泣くことも笑うこともできず、ただこの言葉を繰り返すみさきに緑間や玲子さんもずっと胸を痛めてきた。

普通に幸せになっていいという言葉を受け入れることができねぇ程、当時のみさきは追い込まれてた。

死んじまうんじゃねぇかって毎日怖かった

それでも、こうして日常生活では笑うこともできるようになったのは玲子さんと緑間がいたからだ。

挙式に参列できなかったけど、誰かが撮影したDVDが流されて、桃井と一緒にスクリーンを見つめるみさきはまた目を潤ませてる。

人前で泣くことも、泣いた顔を見られるのも嫌うみさきがこんな風に泣くなんて、よっぽど二人の結婚が嬉しいんだろな

となりの桃井と何やらキャッキャと騒いでワインを飲んで楽しそうに笑って…


みさきの笑った顔を見れることが俺にとってどれほど嬉しいかなんて、みさき本人は知らねぇ。


普段そんなに飲む方じゃないけど全く弱くないみさきとすぐに酔う桃井


いい友達もできてマジでよかった
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