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最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離


備え付けの紅茶をもらって淹れてたらスパの案内が目に止まって手に取った。


「ローズオイルのスパか...肌に良さそ」

「行きてぇなら行ってこいよ」

「え?」

いつの間にか青峰くんが近くに来ててちょっとびっくりした。

「んー。でも2時間だよ」

「仕事で疲れてんだからたまには癒されてこい」

「じゃぁ、空いてたら行こっかな」

電話で確認すると、今お支度してる人か出たら空いてるってことだったから行くことにした。

「15分後に空くみたいだから行ってくる」

「待ってるからゆっくりしてこい。カードキー持ってけよ」

「うん」

用意して部屋を出ようとしたら「俺も少し出る」って言ってスパの前でバイバイした。

カードキーを出して『予約した黒須です』って言ったけど部屋番号と宿泊者の名前が違うと言われて『青峰です』と言い直したら確認できたと言って通してくれた。
好きな人の名字を名乗るのってなんかすっごく照れる。


バスローブに着替えて全身をオイルマッサージしてもらってると気持ちよすぎて眠くなってくる。

『愛されてますね。スパの前まで送ってくださる方なんて初めてですよ』

『彼も用事があって出るようなのでついでに送ってもらいました。それにあたしの片想いですから愛されてるってことはないんです』

『あら、なんとも思ってない女性に一番いいお部屋を用意する男性なんていないと思いますよ?』


やっぱりあのお部屋すごくいいお部屋なんだ…

まぁ、広さが普通じゃないし、暖炉までついてるんだから少しいいお部屋って程度ではないだろうとは思ってた。


『恋が上手くいくように、最後に魔法の香りをプラスしてもよろしいですか?』

『ふふふ。お願いします』

優しい人。スパに来て良かった。

しばらくマッサージしてもらってシャワーを浴びて“魔法の香り”を首筋と足首に少しずつ付けてもらった。
いつもより甘い香りがしてすごくいい気分。

身支度を整えて預けたカードキーを受け取った。

『終わったらお迎えにきてくれるそうなのでこちらでお待ちくださいね』

『あ、はい』

受付のスタッフが部屋に電話を入れてくれて、少し待つと青峰くんが来てくれた。

「お迎えに来てくれてありがとう」

「癒されたか?」

「すっごく癒された。青峰くん用事終わった?」

「あぁ。終わった。部屋でゆっくりしようぜ」
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