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最愛 【黒子のバスケ】

第2章 直感



みさきたちが出発したのを確認して、赤司がもう一台車を呼ぶと近くに待機していたのかすぐに車が横付けされた。

赤司家に到着すると、家政婦が数人出てきてすぐさま荷物を運び入れ、一行を案内するのは赤司の自室

「こちらにお茶のご用意ができておりますのでごゆっくりお過ごしください。御用の際はお呼びくださいませ」

恭しく主人と客人に接する様はこの家がどれほどのものなのかを表すようだった。

赤司征十郎とは、自室に気安く人を入れるような男ではなく、彼にとって今ここにいる人物たちがいかに大切な存在なのかを表すバロメーターでもあった



「失礼致します。タキシードのご用意ができております。よろしいときにいつでもお声がけ下さい」

男性執事が控えめなノックをし、特注であるはずのタキシードをものの数十分で用意できたことを主人に告げた。

「さほど時間があるわけではないからすぐに行くよ。青峰、行ってこい」

「悪りぃ。助かる」

「気にするな。お前がモデルをしたブランドに問い合わせたらすぐに用意できた。そのタキシードも返却しなくていいようだから向こうでも着るといい」

全てが整えられたタキシードに袖を通し、背中やスラックスの丈を即座に微調整し完璧なスタイルに仕上げた。


「この色のチーフも悪くねぇな。助かった」

「大変お似合いでございます」


高校の時は傍若無人な振る舞いが目立った彼も、も大人になるにつれ礼儀を学び、感謝をするようになり、お礼を言える人間になった。
服装に於いても堅苦しい服装は好きではないものの、TPOに合わせて服を選び、正しく着ることが彼にとって当たり前となった。


10代で親元を離れ単身渡米したことで他の者よりも荒波に揉まれ、人として、男として、かつての姿からは想像もつかない程の成長を遂げた。


きっと誰が見ても彼はいい男であることに違わない



支度を整えた青峰が戻り、黄瀬と緑間を除いて、赤司、紫原、青峰、黒子、火神が集まったところで、いつもは存在感を感じさせず自分から話すことも少ないが、意志だけは誰よりも強い一番小柄な男性が切り出した


「さっき言いそびれてしまいましたが…僕、少し前から桃井さんとお付き合いしてます」


旧友が集まれば彼女の話はつきもの。

それぞれの近況を軽く話すと、特定のパートナーがいないのは青峰と火神だけだった
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