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最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離


ファッションウィークも今日でフィナーレ。

あたしもそこそこBOSSに怒られたけど大きなミスなく今日までやれたのは絶対BOSSのおかげ。

『今日で最後よ。最後の瞬間まで気を抜かずにいくわよ!』

パットの声で最後のミーティングが終わってそれぞれの持ち場についた

初日に泣いてたメイクの人も次の日からは別人のように仕事をこなしてた


きっとあの後の雰囲気で何か吹っ切れたし切り替えられたんだって思うとやっぱりライバルだなって思わずにいられない



フィナーレには各ブランドのチーフデザイナーもモデルたちとランウェイに登場する

あたしはトップバッターのブランドのデザイナーのメイクを担当する。

今日も高そうな時計は相変わらずだけど時計に負けない貫禄がある。




ブランドテーマはモノトーン

『あたしは派手である必要はないの。最低限やってくれればいいわ』

『分かりました』

目元をほぼカラーを使わずにマットな肌の質感とは逆に艶を強調させる。チークはいらない。

『赤入れていいですか?』

『そんなの使ったら目立つじゃない』

『モノトーンの中の1点の赤は人間のアドレナリンに働きかけます。よりブランドを印象付けるには打ってつけのカラーです。気に入らなければ戻すので一度試させていただけませんか?』

『いいわよ』


肌色から判断して最適な赤を選んで唇に乗せる

『いかがですか?』

『これで行くわ』


これですべてのメイクが終わった

初めてのコレクション




きっと一生忘れない


『よく赤を使うことを提案したわね。あなたがしなきゃあたしがやったわ』

『BOSSのおかげです』

『あなたの実力よ。さぁ』

広げられた腕に思いっきり飛び込んできつくハグするとあたしよりもきつくハグを返してくれた



『あなたはあたしの自慢よ』


泣いちゃう…


だけどこれはうれし涙

仕事がうまくいかなくて流す情けない涙じゃなくて
少しでもBOSSに近づけたってことが嬉しくて流したうれし涙

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