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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


カレンのメイクをしなくていいってことは、あたしは必然的にいつもよりもタスクが少ない訳で、余裕を持って現場を見ることができた。


いつもはバタバタとしていて、対応が甘くなってしまっている箇所にも気を配れて、カレンがここにいないってこともあるんだろうけど、気持ち的にもすごく余裕があった。


メイク全員の進捗を確認しながらメーカー側と一緒にチェックに立ち会って、撮影にも立ち会う


本来ならこれがあたしのここでの仕事だったけどカレンのメイクをしなきゃいけないことになってからは撮影は立ち会えないことが多かった


黄瀬君がモデルとしてカメラの前に立っているところは、もうすでに何千回と見てきているけど、全米デビューを飾るこのプロモーションに臨む黄瀬君は日本で見る黄瀬君とは少し違う様にも見えた

これは…

キセリョじゃなくて黄瀬涼太って感じるカオ


美緒はキセリョって呼び方があんまり好きじゃない

ペラペラで軽そうで、ちゃらんぽらんしてる感じがするからって理由らしいんだけど、聞いた時にあたしも妙に納得してしまった覚えがあった。


別に日本での黄瀬君が仕事を適当にしているとか、手を抜いてるってことじゃないけど、この仕事を何としてもいい形でやり遂げたいって強い意志が感じられる表情だった。

事務所の社長さんが世界を視野に入れてる様に、黄瀬君本人もそれを意識してる


それに、黄瀬君だけじゃない

エマだってソフィアだって1つ1つの仕事を積み重ねていくことで確実に知名度を上げていく

今回は顔は出ないけど、それでもこのプロモーションを全力でこなしてる


アクターあってのメイクが、アクターの足を引っ張るなんて言語道断



何があっても、もうあたしはカレンに弱みは見せない



『ねぇちょっと?そんなに熱い目でキセばっかり見てるから…ご機嫌ナナメよ?』

『え…?』


パットに小声で耳打ちされて、パットの目線の先に捉える人物を見ると……


眉間に皺を寄せて、腕を組んでる青峰君が目を細めてあたしを見てた



『あんなおっかない顔のまま表情筋を固められたらあたしのメイクが2割減なのよね。責任取って頭皮から首のマッサージやって頂戴』

『私ですか?』

『あら…チーフだからって、いつもより余裕そうなあなたの手を開けておく程あたしは暇じゃないのよ』
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