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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


何か言わなければ
今にも叫び出してしまいそうだった


全ての感情を殺さなければ自分を保てなかった


『あなた、そこまで愛されたことないでしょ?』

『ありません』



個人的なことは何も言わないと決めていたことが今この瞬間に崩れた


そしてもう止まらなかった


『私はそのような愛され方をしたことは一度もありません。私はそれを愛だとも思わない』

『そんなのは強く愛されたことのない人間の戯言よ』

『違います。欲求を押し付けるだけなら理性を持たない動物にでもできます。理性を持ち愛する人の気持ちに寄り添えるから人間なんです』


あたしは青峰君と知り合ってから、ただの一度だって欲求を押し付けられたことなんてない

いつだってあたしの気持ちを大事にして愛を伝えてくれた

今はまだ与えてもらってばっかりだけど、大事にしてもらえてることに対してあたしは感謝してるし、心が癒されていくのを確かに感じてる


いつか、してもらった以上のことを青峰君にしたいって思ってる


『欲求はいつだって動物的な物なのよ?相手の顔色を窺って押えられてるってことは愛してないからよ』

『愛してるから抑えられるんです。無理矢理されて幸せだったなんて、それは経験がないから言えるんです』

『嘘だとでも言いたい訳!?』

『そうです。あなたは妊娠もしていなければ無理矢理されてもいない。あなたの嘘は最低で最悪で……最も汚い』


止まらなかった

機嫌を損ねたら撮影が進まなくなることを頭のどこかで理解はしていたはずなのに、あたしはカレンを罵倒することをやめられなかった


『されたわ‼』

『じゃあ、その時何が見えた?何を感じた?どんな匂いがしてどんな音が聞こえて…暑かった?寒かった?何を考えてた?息はできた?恐怖は感じなかった?痛みはなかった?この現場で彼を見て、逃げ出したいと思わなかった?憎悪は感じなかった?





…ねぇ…教えて…
教えてよ
自分を無理矢理押さえつけた男が目の前にいてあなたはどう感じる?
今の感想をあたしに教えてよ』




最後は恫喝だったかもしれない



『あんた何言ってんのよ。おかしいんじゃないの!?』


『聞きたいから聞いてるのよ。ねぇ…答えて。無理矢理されたときどうだった?』




















「…みさき…もうやめろ……」
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