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最愛 【黒子のバスケ】

第23章 After the rain


メイクブラシの手入れを後回しにしたことなんてなかったけど、今は青峰君のことを優先したくて、仕事の荷物も片付けずに二人でカウチに座った。



もう帰ってきた時みたいな重い空気はなくて、青峰君の脚の間に挟まれてぎゅっと抱きしめられてる

「お前の前で付き合ってたことを持ち出されんのも、本意じゃねぇことに反論できねぇのもすげぇヤダ。俺があいつを拒否しねぇことでスタッフの中には復縁したって勘違いしてるやつもいるしな…」

カレンを刺激しないために青峰君はカレンの言うことに一切反論もしないし否定もしない。

撮影の合間にカレンが近づいてきても敢えて避けず普通にしてる

アメリカの業界では青峰君とカレンが付き合ってたことはほとんどの人が知っていることだから、二人が恋人同士に戻ったと思うスタッフがいても別に不思議じゃなかった


実際にあたしもそれを話してるスタッフの言葉を聞いてる

『やっぱりカレンが本命だった』

『今までで一番長い』

『文句のつけようがないほどお似合い』

『稼ぐ男にはいい女が自然と寄ってくる』



聞きたくなくても聞えてしまうものはどうしようもないし、なるべく意識しないようにはしてるけど完全に何も感じないわけではない。


「相手があいつだって分かってたら断ってた。マジでヤダ。バックレてぇ。顔も見たくねぇし近づきたくもねぇ。だけど、それよりも何よりも…お前が傷ついてんのに何もできねぇ自分にすげぇ腹が立つ」

何もできてないなんてそんなことないのに…

「青峰君がうまく対応してくれてるからこの程度で済んでるんだよ。嫌だって思っても否定したり逃げたりしないでいてくれるから、あたしは仕事ができてる。あたしがこの現場をやり切りたいってわがままを全部聞いてくれてる。いっぱい感謝してるよ」


「傷つけた分絶対ぇ埋め合わせする。明日からだって状況が良くなるわけじゃねぇし今日よりも悪くなるかも知れねぇ。けど俺は、お前だけを愛してる。それだけは絶対ぇ変わらねぇ」



強く抱きしめられた腕から伝わる青峰君の気持ち
目を見て伝えてくれる言葉
埋め合わせなんてしなくていい
あたしを好きだって思ってくれてたら、それだけですこぐ幸せなの


「じゃあ、帰ってきた時の…」





優しく手が頬に触れて重なった唇


やっとしてくれた




「愛してる」



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