第22章 大雨
___________「お願いやめて‼‼‼‼‼」
みさきを抱きしめて、いつのまにか寝ちまってた俺の耳に、みさきの叫ぶような声が聞こえて目が覚めた
「みさき⁉」
「…っ…あおっ…みねくん……」
寝た時も少し泣いてたけど、今も泣いてるような声でサイドテーブルの明かりをつけると、さっきとは比較にならねぇほどぼろぼろ泣いてる
「どうした?大丈夫か?」
あいつらに言われたことでトラウマを刺激されたことは明らかで、怖い夢でも見たのかと思って背中をなでると、俺にしがみついて泣いて、酷く取り乱してた
「やだ…っ……ヤだよ…ちゃんと女の人になるからっ……面倒なことも言わない……」
「みさき」
「やだやだっ……体も…もっと頑張るから…ちゃんとするからっ…嫌いにならないで…」
泣いて取り乱して俺が呼んでも全く聞こえてなかった。
すがるように嫌いにならないでって言葉を何度も繰り返すみさきを何とか落ち着つかせたかった
「みさき!こっち見ろ‼‼」
いつもよりすこし強めに呼んで、驚かせねぇようにできるだけそっと両頬を挟んで上を向かせて目が合うと、顔全体をゆがませて次々と涙を流して俺の手を濡らした
「…ごめ…な…」
「謝らなくていい。お前は何も悪りぃことなんてしてねぇだろ…」
ここまで追い込んだのは俺だ
みさきは別に何も悪いことなんてしてねぇのに、俺がちゃんと始末をつけとかなかったせいでこんなに泣かせた
何もできなくて泣いてるみさきをただただ抱きしめて、呼吸が落ち着くまで背中をなでることしかできなかった
「大丈夫か?」
「うん…」
「気持ち悪いとか頭痛いとかねぇか?」
「うん。それは平気」
落ち着いたみさきに水を飲ませて背中をなでるとまた泣いてだけど、さっきみてぇな拒絶もパニックも起こさなかった
バックボードに背中を預けて細くて柔らかい指を絡めて握ると、みさきも少しだけ握り返してくれた
「俺は、みさきだけを愛してる。華奢な体も辛いことに負けねぇ強さも、俺はお前に惚れてる。一生抱けなくても俺を好きでいてくれんならそれでいい。…だからもう二度と本心を誤魔化すな。無理して抱かれようとしなくていい。抱けなくても俺はみさきを愛してる」