第22章 大雨
奥の部屋に入ると照明が明るめについてて、いつもより呼吸の荒いみさきが寝てた。
普段は酒なんて飲んでも顔色が変わらねぇみさきの頬が赤くなってて、涙の跡がいくつもあって、ものすげぇ罪悪感だった。
「…お…み……ね…くん……」
途切れるように俺を呼んでまた零れた涙がまつげを濡らして髪に伝い落ちた
どうせ酔っぱらわせるならこんな風に泣かせるんじゃなくて小麦粉をぶちまけた時みてぇに楽しく酔わせたかった。
ごめん…
ホントにごめん…
けど、抱かなかったことは謝らねぇ
起きた時に水を飲めるように、グラスとペットボトルをもらいにリビングに戻ると、窓際のテーブルにウイスキーの空のボトルと、半分以上減った同じボトルが目に入って思わず手に取った。
42度……
「それ、ほとんどみさきが呑んだんだよ」
「青峰さんが悪いとは言いません。でもフォローはしてあげて」
「悪かった…」
『ハンナも、ありがとな』
『いいのよ。そばにいてあげて』
ハンナたちを俺がとった部屋に戻らせて、みさきのいる寝室に入ろうとするとパットに引き留められた。
『あの子は妊娠も、それ以外のカレンが言ったことも、嘘だってちゃんとわかってるわ』
『あぁ』
『この部屋貸してあげるから、あんたんとこ貸しなさい』
『悪りぃ』
カードキーを渡してパットが部屋を出ていってから、静かになった部屋の明かりを落としてみさきが寝てる寝室に俺も入った。
いつもなら呼吸も聞こえねぇ程静かに眠るのに、今日は少し荒い呼吸が聞こえた
一緒に寝たら怒るか?
一緒にいたくねぇって思うか?
もう俺と付き合うの嫌になったか?
けどそれでも俺はお前を手放せねぇ
世界で一番愛しくて、一緒にいるのが幸せだって知ってるから、お前だけは手放せねぇ。
広いベッドに横になるみさきの横に入り込んで、華奢な体を抱きしめると、アルコールの中にみさきの匂いがした
俺の好きなみさき自身の甘い匂い
「ごめんな……愛してる…」
聞こえてねぇって分かってる
けど言わずにはいられなかった