第7章 近づく距離
side青峰
開けていいかと聞くと無言で頷くからどんな物が出てくるのかと思ったらサングラスだった
しかも好きな形
以心伝心だろこれ…
欲しいと思ってたもんを最高のタイミングでくれた
何も言ってねぇのにちゃんと好みが合ってる
すぐにそれをかけると黒須がちらっと俺を見て下唇をちょっと噛んで笑った
すげーかわいいな…
しかもプレゼントのセンスがいい
あの雑誌の取材の前にもらってたら間違いなくこのサングラスだって答えられた。
ネロは正確には贈り物じゃねぇから
女から何かもらうなんてほとんどなかった
さつきが寄越すもんは大体おかしい
ザリガニのクッション
カエルのぬいぐるみ
変な透明なのでできたブニブニのセミ…
まともなもんなんてあった試しがねぇ
一番マシだったのは人間のおっぱいの形で感触も割と近いプルプルしたボール
それは揉みすぎて1週間で破裂してダメになったから捨てちまったけどあれが一番マシだった
それ以外は捨ててはねぇけど活躍の場はねぇからただ置いてある
あー…俺も黒須が幼馴染がよかった
さつきは嫌いじゃねぇけど女としては見れねぇし、プレゼントのセンスは壊滅的。
テツにはそんな事ねぇらしいけど俺に送り付けてくるもんは小学生レベル
運転も料理も死ぬほど下手
あいつの飯で何回死にかけたか分からねぇし…
火神…俺と代われ
度重なるラッキーは誕生日が近いからなのかもしれねぇなんて思いながら車を出すとよっぽど眩しいのか黒須もサングラスをかけるからついつい見ちまった
やっぱすっげぇ小顔
鼻も高けぇし、サングラスしてると東洋人の感じがほとんどしねぇ
はっきりした顔立ちで笑うと可愛いけど真顔は美人
一緒にいる間に少しでも距離を縮めてぇって思ってたから黒須がため口になった瞬間を利用した
大輝って呼べって言いたかったのをグッと飲み込んだけど緑間が真太郎って呼ばれてるのにはやっぱ嫉妬する。
“大我”はしょうがねぇとしても“真太郎”は嫉妬する。
でもそんな小せぇ男だと思われたくねぇからそれは出さねぇけど、やっぱ関係は気になる。
緑間が違うっつーなら違うんだろうけど、黒須はそうじゃねぇかも知れねぇってのは捨てきれねぇ
けど、想像の域を出ねぇならそんな事今考えたってどうにもなりゃしねぇんだ