第18章 劣等感
大我とハンナは夕方からスポンサー企業のレセプションに出かけることになってる。
一人で行くのでも全然いいけど、やっぱり同伴者がいた方が色々と都合がいい。
男性はブラック・タイで女性はイブニングドレスが基本のスタイル。
大我はいつも同伴者を知り合いのモデルさんに頼んだり、エージェントにプロの人を用意してもらったりしてたけど今回は迷いなくハンナを連れて行きたいって最初から言ってた。
ハンナは自分の傷を気にしてるせいもあるし、今までモデルさんを同伴してた大我がいきなり一般人の自分をエスコートすることで何か言われるんじゃないかってすごく気にしてた。
だけどあたしは大我がそうしたいって思っててハンナも絶対に無理とかじゃないならおいしいものをちょっと食べて一緒においしいお酒を飲んでくるのはありなんじゃないかって思った。
大我ならきっとどんなことがあってもハンナを守ってくれる。
幼馴染のあたしですら大我に守られっぱなしだったんだから相手が大事な大事な彼女なら絶対に守ってくれる。
それにハンナがいることで大我だって色々と面倒な女性に声を掛けられなくて済むんだから大我だってハンナに守られてる
ソファで寝っ転がる大我をリビングに残してお仕度する部屋に入ると大我の贈ったドレスとアクセサリー、綺麗なヒールがあって大我のタキシードもきちんとかけてある。
ハンナにそこの部屋に入れておくように言ったらさすがにパーティー慣れしてるだけあって抜かりなくすべての小物が用意されてた。
青峰君とお出かけした時カフスが無いって慌てて買いに出かけてあたしは上着を買ってもらったことを思い出して笑みがこぼれた
『どうしたの?』
『思い出し笑い。同伴って言ってもビジネス絡みの話は出ないから楽しんできて』
『こんな顔で…大我に恥ずかしい思いをさせない?』
もう何度も聞かれたその質問。
不安そうにするハンナに同じ言葉を繰り返した
『大我はハンナを愛してる。恥ずかしいなんて思わない。大我にとって一番綺麗なのはハンナなの。ちゃんと背筋を伸ばして顔を上げて大我だけを見て』
見えるところに傷をつけられたせいで感じる必要のない劣等感をハンナは感じてる
だからあたしは自分のできることをしてあげたい
幼馴染の大事な彼女だから。
そしてあたしの大事な友達だから