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最愛 【黒子のバスケ】

第15章 初恋


明日はクライアントへの挨拶を済ませたら夜のフライトで渡米する。


お風呂に入る前、全ての衣服を脱いで体重計に乗った。
目標は41キロ


8と9が何度かチカチカうつって最後は8で止まって体重が表示された。

40.8


200グラム足りなかったけどこのままなら貯血はできる。
たくさん食べた直後の体重だからどれくらい減っちゃうか分からないけど今の体重を真太郎にメッセージを入れた。


(今体重計ったら40.8キロだった。ちょっと足りないので機内で寝てたら機内食の時は起こしてほしいです)


あたしはフライトで爆睡して機内食を食べ損ねることが結構ある。
でも体重がギリギリな今、食事を抜くなんてことはできない。


(いい数字なのだよ。食事は必ず起こすが、貯血は体力の消耗も激しい。機内では好きなだけ寝て構わないからゆっくりと過ごせ)


真太郎からのメッセージを確認した後、お風呂と渡米の準備を済ませてから青峰君と一緒に自分のベッドに入った。



「体重増えたか?」

「うん。ちょっと足りなかったけど、真太郎はいい数字だって言ってくれた」


ベッドに入って向かい合って青峰君の長い腕があたしの体に回されて抱きしめてくれてる。


「頑張ったな」

「体重増やすのって大変なんだね」

「体質もあるだろうな。お前は全然食わねぇって訳じゃねぇけど多分それなりに筋肉もあるから代謝が高いんだよ。だからお前と寝てるとすげぇ暖かい」

暖かいのは青峰君だって何度も言ってるのに、青峰君はいつもあたしが暖かいって言う。

「夏はあたしと寝たら寝苦しいかもね」

「んなことねぇよ。真夏でも俺はお前と寝る」


真夏に一緒に過ごせるかな…

手術の危険性は詳しく説明されて、詳しく知れば知るほど“もし”ってことが頭から離れなくなった。


もうこうしてこの腕の中で眠ることができなくなるのかと思うと、どうしようもなく苦しくて怖くて、涙が自然とボロボロと流れてしまった。


あたし、青峰君を好きになってからすごく涙もろくなってしまったような気がする。
前のあたしならきっと泣くことはなかった。

好きな人にもう会えないかもしれないということが、これ程辛いなんて知らなかった。



恋愛は心を強くするけど、孤独に弱くなる。


26歳で初めてした恋は27歳のあたしを強くして、それと同時に弱くもした
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