第5章 ごめんなさい。
夕方。
ミケとの交わりが終わると、二人は営業スマイルとは違った笑みを零して、「またご利用お待ちしております」と言って家から出て行った。
ベッドに横たわるユリアの頭元に、メモを残して。
放心状態になったユリアはなんとかメモを開くと、薄暗くなってきた部屋でそれを読んだ。
そこには二人の連絡先だけ。
ユリアは怠い身体を起こして、綺麗に配置された家具たちを見ながらリビングへ行く。
電気をつけ、椅子に座った。
メモを眺め、スマートフォンを手に取り、メッセージアプリにIDを打ち込んで、二人を追加した。
ごめんなさい、お父さん、お母さん。
そして、愛する夫。
こんな娘で、妻で、ごめんなさい。
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