第22章 【合同夢】Kids under Edge
「嘘、エルヴィン……、興奮、してるの……?」
エルヴィンは何も答えない。だけど首筋にかかる吐息は確実に湿り気を増し、荒くなっていた。
いつもは冷静沈着なエルヴィンが、余裕を無くしている。それほどまでも私に興奮してくれているのだ……そう思うと、恥ずかしさの中に嬉しさが芽生える。
パイパン──口にするのも恥ずかしい姿に、私は自らなった。本当に恥ずかしい。恥ずかしくて仕方ない。けれど私は妻として、エルヴィンに喜んでもらうために剃ったのだ。
もしもエルヴィンに軽蔑されたら?もしも相手にすらされなかったら?そんな不安だって、今に至るまで無かった訳ではない。
でも今彼は、私に興奮している。私のパイパンにペニスを勃起させている。
それがこの上なく嬉しい、恥ずかしい……。
「エルヴィン……」
感極まって愛の言葉を囁こうとすると、不意にうつ伏せの状態へ体を転がされた。そして間髪入れずにエルヴィンが背中に覆い被さる。状況を把握する間もなく、私の短い悲鳴は呆気なくシーツに吸い込まれてしまった。
「どういうつもりなのかな……」
彼の乾いた笑いが頭の上から降り注ぐ。
それで私は、何が起きているのかすぐに理解した。この笑い方は、彼がいつも怒ってるときにする笑い方なのだ。エルヴィンは酷く怒っている──私に?なぜ?
幸福感に酔いしていた頭が、一瞬で真っ白になった。
「誰にさせられた?なあ……答えろよ……」
92㎏の体重が私を押さえつける。命の危険さえ感じる苦しみの中で、私はエルヴィンがとんだ誤解をしているのだと察した。弁解しなければ……そう思っても、肺が押し潰されて声が出ない。エルヴィンは私を痛めつけたいだけで、端から答えさせるつもりなんてないんだ。