第10章 性的趣向 ②
暫く抱き締めたままで居たが、エルヴィンがゆっくりと腰を引いたことで肌が部屋の空気に触れて少し寒く感じる。
拡げられた股から、どろりとした液体が溢れ出すのが分かった。本当に中に出されたんだと実感した。それと同時に、左手の薬指の指輪の存在も。
「……本当、バカヴィン」
「ジョークじゃないからな」
「セックス中に言わないでよ……バカ」
そう言いながらも左手を眺めながら薄らと顔が綻んでいる。
「ユリア」
「んー?」
「さっきのプロポーズはジョークじゃない、本気だ。俺は君以外ではいよいよ何も感じなくなってしまった。生き甲斐になっていたスク水への興奮も、毎日の食事や、寝起きする時、仕事に行く時の挨拶、全て君がいるから幸せだと感じるんだ。歪んだ愛情表現ばかりしてきた俺だが、君を幸せにする、必ず。だから……、俺と結婚して下さい」
エルヴィンが真っ裸で、結局締まりの無いプロポーズをしてきた。ユリアは笑ってエルヴィンを抱き締める。
「さっき、“YES”って言ったつもりだったんだけどな。……結婚する、幸せにしてね、旦那さん」
「ああ、もちろんだよ奥さん」
「っあ、出ちゃう……待って」
「よし、塞ごうな」
「んえ!?待って!?ご飯……もーっ……あ……はっ」
それから間もなくして二人は結婚。
サンタさんは到底寄り付けない雰囲気のバカップルの所に、決してオトナのクリスマス会は見ないようにとどうにか知恵を絞り、なんとかサンタさんがプレゼントを授けたのは、それから次の年のクリスマスだった。
「散々、あんな事をしておいてこんなに可愛い天使が産まれるとは……神秘を感じるな……。お前は父さんや母さんみたいな変態になるな」
「ちょっと二言位多いけど確かに神秘的だね。……ねえ、エルヴィン、私幸せ」
「俺もだ。なぁ、お前も幸せだろう?」
エルヴィンが握る小さな手が、キュッと握り返した。
引っ越してきたばかりの大きな家のリビングには大きなクリスマスツリーが飾られており、美しく輝いている。
空にチラチラと雪が舞い始めた。
二人のその後だが、ユリアとエルヴィンは熱が冷めることは無く、たくさんの子を成していき、家族全員で今も幸せに暮らしている。
-第14章 END-
Merry Christmas 2018.