第1章 逃走
私は何が起きているかわからなかった。
屋敷がどこかざわついているのはわかる。あやかしの気配だった
でも、ばあやは見えないはずなのにどうして
そう思いながら手を引かれ蔵にある地下に押し込められた。
「頃合いを見て誰かが迎えに参ります。それまでは暫しこちらでお待ちを。それとこれとこれを。必ずお読み下さい。お嬢様お元気で。」
そういうと返す暇もなく地下通路を閉じられ間もなく蔵の扉が閉まる音がする。そして薄く周りから護るような結界を感じ誰かがばあやに貼ったものに霊力がなくても書いたものに霊力があれば結界が発動するものを持たせたのかと思った。
ばあやが必ず読めと渡した文と懐中電灯を使い読むと
こうなったらそばにはいられない約束になっている。奇襲が誰が原因かはわからない。そばにいれて楽しかった本当の孫の様だった。そう書かれていてばあやは事故で娘夫婦共々孫を失っていた事を使用人たちが噂で話していたことを思い出した。
「ばか...。そう思うならちゃんとお別れぐらい言わせなさいよ」
とぼそっとつぶやく私はいつの間に用意された布団を見つけホコリっぽくないことを確認するとその上に座った