第7章 思い出の中の彼
翌日静司の隣で目を覚ます
なぜこうも準備がいいのか。この着替えといい化粧落としといい
御付きのものが準備しているのだろうけどそれにしても準備がいい
しかも昨日渡されたパジャマと一緒に好みのシャンプーにボディーソープまでときた
何処かへ出かける時もエスコートを忘れない
誰に仕込まれたのか自然と覚えたのかもわからない静司のことを何も知らない自分にモヤモヤする
そんな気持ちを隠すように静司の胸に顔を埋め誤魔化していると微かな音と共に静司が目を覚ます
「起こしちゃった?」
と尋ねる
「構いませんよ。寝起きにこうやってあなたが隣にいて可愛らしいことをしてくれていたのですから」
そういい顔を埋めていた私をそっと包み抱き返してくる静司
そんな好意に応えるようにそっと顔を胸元に戻すとクスッとした笑い声とともに「変わりませんね」とボソッと聞こえてくる
「えっ?」と聞き返すと
「なんでもありませんよ。」そういい頭を撫でられる
大人の余裕で軽くあしらわれ床では翻弄され続ける自身の心に影が曇る