第1章 オセロ
パトロールに出て、いつものように公園のベンチに座る。
アイマスクを付けようとした時、ベンチの前を一組のカップルが通り過ぎた。
女の方は雑誌を手にして、男にやたら甲高い声で話しかけている。
「ねぇー今度の休み、ここのパンケーキ屋さん行こうよー。最近かぶき町に出来たんだけど、すっごい人気なんだよー」
「うん、いーよ」
「本当にぃ?●●君ってば優しいー。じゃあ約束ねぇ」
反吐が出そうなやりとりに、思わず刀を抜きそうになったが、何とか堪えた。
俺の精神力の高さに命拾いした事を、知るよしもないバカップルは、お手て繋いで公園から出て行った。