第1章 私の先輩は素敵なのです!
私の名前は四谷 萌、高校1年生です。今とても死にそうです。
私は今、コンクリ造りの小屋の脇に立っています。ここは我らが女子野球部の部室なのです。
私は入学してすぐ女子野球部に入りました。野球が好きだったわけじゃないです。むしろよくわかんなかったです。
でも野球部に入りました。なんでかっていうと、すごく、すごく、すてきな、カッコいい先輩がいたからです。
私が入学した春、どこの部も新入部員ゲットのために催しごとをしていました。野球部は、男子野球部と女子野球部混合で紅白戦をしていました。
私は野球なんて好きじゃないんですけど、クラスメイトが見ようって言ってきたので、仕方なくつきあいました。グラウンドをぐるっと見渡せる芝生の上に座って、でも特に興味もないのでボ〜ッとしていました。そうしたら
「行ったぞー!」
と声がしたんです。
最初はその声も聞こえてなかったんです。でも周りの子がみんなキャーキャー慌てだしたので、私も「えっ?なに?」と思って顔を上げたんです。そしたら…来てたんですね。
特大のホームランボールが。