第3章 私の先輩、愛してます!
「伊豆くんはすごくモテると思ってたけど。1年生からは意外と人気ないのかな」
「あーそんなことはないですよ。結構みんなキャーキャー言ってますね」
「ふうん…でも萌ちゃんのタイプじゃないんだ?」
「そうです。だって伊豆先輩って、実はけっこう天然ボケですよねえ。みんなカッコいいとか言ってますけど、この間靴下左右違いましたよマジウケる。あと前にTVとか何見るんですか?って聞いたら『TVは見ないんだ、野球があるから』とか言ってきて、マジサガるんですけど〜会話する気ゼロかよ〜。愛想悪いし、何考えてるのかわかんないですよねえ」
あらら、憎しみがつのってちょっと言い過ぎちゃいました。さすがに桃浜先輩怒りますかねえ…と思ったら
「そう、ほんとそれ!」
と食いついてきました。
「私がさ、色々気を使ってあげても全部スルーするんだよ!ホラ私たちってさあ、テストで赤点あると部活停止されるじゃない?だから試験前は男女合同で勉強会しようか?って相談したら『オレはやらないから桃浜に任せる』だってさ酷くない!?任せるなよ!相談をしてるんだっつーの!お前も考えるんだっつーの!自分が頭いいからって余裕なんだよねー腹立つ!あと新入生歓迎会とかさあ打ち上げとかさあ、あるじゃない?そういうのいつも遅刻したり早引けしたりするの『練習したいから』って。人の!和!考えろよ!マイペースか!それなのに人気があるから許されてるんだよね!伊豆はエースだから頑張って貰わなきゃ〜とかってさあ、何この格差社会!ホントムカつく!人の話全然聞かないし、何ていうか視野が狭いんだよねー!自分の見たいものしか見えてないんだよ!」