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小鹿の隠れ家

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


こんのすけが端的に佳乃子がこの場に来た理由を口にしながら隣の男性を紹介した。
示された刀剣男子と呼ばれた男性もそれにしたがって名前を口にするのを聞いて、佳乃子もどもりながらなんとか自分の名前を口にすると謝らなければとそれを口にするが返ってくるかもしれない言葉が怖くて拝み倒すようにぺったりと布団の上で土下座の格好を取った。
驚いたのは目の前でそれらを見せられたこんのすけと光忠である。
突然の佳乃子の行動に目をぱちくりと瞬かせたこんのすけと、少し呆然として僕ってそんなに怖い? と呟いてしまった光忠に罪はない。
佳乃子は土下座をしたまま断罪されるのを待つかのように震えている。こんのすけと光忠は視線を合わせるとしばし無言で声を掛けるのを譲り合い、最終的に光忠が負けてゆっくりとした動作で手を持ち上げ佳乃子の方へと伸ばしながら声を発した。

「えぇっと、佳乃子、ちゃん? 驚かしたのは僕の方だと思うし、気にしないでくれると助かるよ」

ぽんっと伸ばした手を佳乃子の頭に乗せた光忠は、ビクリと大きく震える肩を見てどうしようか迷いつつもそっと短い髪に指を通して宥めるように撫でてみた。
かけた言葉は届いているのか、うんともすんとも反応のない佳乃子に困ったような笑みを浮かべながらも根気強く落ち着くのを待っている。
佳乃子は光忠の言葉よりも頭に乗った手がいつ乱暴に叩いたり髪を掴んだりするのだろうとますます怯えたものの、待てど暮らせどただただ優しく撫でていく感触だけを与えて来るのに少しだけ興味と勇気を得てそろりと頭を上げてみる。
バロンの影ではっきりとは見えないが、大きい身体や手に反して穏やかな様子に見える。

「……かあさま」
「え?」
「……み、つただ、さまは、かあさまみたいです」
「……え?」

根気よく、佳乃子の言葉を待っていた光忠とその二人を見守っていたこんのすけがぽつりと落ちた佳乃子の言葉に固まったのはこれが初めてのことである。
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