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小鹿の隠れ家

第1章 恋愛に至る道(出会いから恋に辿り着くまで)


光忠は隣に座っていいか尋ねて、子虎が開けてくれた場所に腰を降ろすと寄ってきた子虎を撫でてやりながら佳乃子の手元を眺める。
丁寧に丁寧に毛を梳き、地肌を擽っていくように動く櫛は酷く気持ちよさそうで子虎のだらしなさにも納得がいってしまいクスリと笑う。
毛づくろいが終わると佳乃子は嬉しそうにその子虎の腹の柔らかい毛の中に顔を埋めるように抱き着く。しばらくスリスリと頬を摺り寄せていたが、満足したのか顔を離すと最後の一頭だったらしくおしまい、と笑顔で言うと子虎たちは満足そうな表情で廊下を囲炉裏部屋の方へと駆けていく。

「大分懐いてるね」
「あ……えっと、はい。こちらに来てすぐに、迷っていたところを助けて貰ったんです」
「迷ったの?」
「う……その、夜に……。あの子たち、夜にたまにお散歩しているみたいで……」

どこに用事があったのかは恥ずかしくて言えない、と頬を染めて俯く佳乃子に予想が出来た光忠はそこは追及せずに頷いて納得する。
見た目には未だにまだ幼い少女に見えるが、告げられた年齢的にも光忠に声を掛けるのは憚れたのだろうなと思ったからである。
そして来たばかりならば暗く似たような景色の廊下は迷うのは仕方がないかもしれないと納得する。太刀である光忠もあまり夜目は利かないので、この本丸に顕現したばかりの頃は明かりがない場所は迷いそうになっていたこともある。実際には迷わなかったが……。
佳乃子はただ頷いただけで特に反応をしない光忠に恥ずかしさが増したらしい。手にしていた櫛を片付けてくると言って立ち上がると自室へと駆けていってしまった。
光忠は、その背を見送ってから縁側の外を見る。前任の審神者が居た頃はこうものんびりとした時間は取れなかったなとしみじみと思う。
まだこの後、近侍の仕事として佳乃子の傍に着く以外にも奥の間の掃除をする午後の予定が待っている。佳乃子も一緒に掃除をすると言うので、お腹が落ち着いた頃合いを見て動き出すつもりでいる。
暫くすると佳乃子が自室から何やら書面を手に戻ってきた。羞恥は治まったのか、光忠の隣に来て座ると書面を差し出されたので受け取って中身を確認すると今後の予定の様だった。
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