第43章 煙 くゆりて 人 攫う
安土城下は今日も多くの人で賑わっている。
「お夕ちゃんが出てきたら、甘味買って帰ろうね」
美弥はお遣いがてら、瑠璃を誘って城下へ出かけていた。
2人はもうそろそろ、帰りの話をしていた。
頼まれた用事を済ませて、店から一足遅れて出てきた、瑠璃付の女中 お夕が、
「瑠璃様ぁっ!」
悲鳴のような声で瑠璃を呼んだ。
その声に ハッ として周囲を見れば、
侍、商人、農夫などの格好をした男達が、
美弥と瑠璃を、遠からず近からずして、
囲い込むように立っていた。
変装して、ずっと見張っていたのだ。