第32章 女神敬仰
信長を中心に左右に側近達が並んで廻縁に姿を現わす。
下からはザワザワとざわめきの声。
「信長様の横に居るのは誰だ?」
「美弥様じゃないぞ」
「新しい寵姫か?」
瑠璃を初めて見る者もまだ多い。
「おい。あれは瑠璃様だ」
「あれが……」
「噂の瑠璃様か⁉︎」
「美しいな」
品評。
「やはり、信長様の女か」
「手を出すなと言う話か」
憶測。
口々に囁き合う。
「聞け!この女は我等が庇護する者である」
瑠璃の肩を抱き、信長が朗々と演ずる。
「しかし、この女に対し、害を加える者が多くいるようだ」
下では
「誰がそんな事…」「女共ではないのか?」
など顔を見合わせあい、眉をひそめあっている。