第30章 花顔涙咲
「拝賀の日の、…狸か狐に見える態度だった私が…悪いんです…」
小さく頭を振って、すまなそうに言った瑠璃。
それに反応したのは美弥。
「秀吉さん!瑠璃さんに、狸や狐みたいだとか言ったんですか⁉︎信じられない‼︎」
三角の目をして秀吉を睨む美弥。
「言ってない、言ってないぞっ、思っただけだ!」
つい、口が滑った。
(あ!しまったっ)
素直に答えてしまった秀吉。
(あ…)
((あーあー))
(?)
「思ってたんですか⁉︎ひどいっ!」
自分のこと以上に反応する。
それが美弥だ。
他人に情を寄せる。
「女の人に対して、狸とか狐はないよっ」
「お、落ち着け美弥。それは、だな…その…」
美弥の気迫に押され困る秀吉。
それを見る全ての者の肩が、小刻みに震えている。