第49章 創痕緩癒(R18)
「『露は清輝を濯いで苦(冴)え』ー…」
「『風は素影を飄して寒し』……
突然、杜審言の詩なんて、どうしたんですか」
政宗に続唱した瑠璃。
月は清らか過ぎて寒々しい、それなのに、
淡く柔優な姿が瑠璃と重なる。
「お前は月みたいだな、と思ってな…。
清らかなのに妖しくて冷たい。
でも、月明かりみたいに淡く儚く、
包み込まれるように温かく感じる…。
そして、月は人を狂わせる……」
静寂の空気を低く甘く震わせる政宗の声。
「クスッ…少し、酔いましたか?」
笑った瑠璃は儚い可憐な花のよう。