第45章 煙に隠れた人探し
「船か…」
「ここ 北前船が停まるで、積荷降ろしたら、
部屋が空くんじゃて」
「だからって、ウチら乗せられてもなぁ」
「んだんだぁー」
女達の不満話は続く。
そこには重要な言葉が溢れていた。
好きでもない女の不満話を聞くのは、
正直 面倒でしかないが、ここは我慢だ。
(瑠璃を探し、助け出すまでは…)
「甘味でも奢ってやるから、もっと聞かせてくれよ」
優しくも男らしい笑顔で女達を惹きつける。
「いやぁ〜ん、ええけどぉ」
「ええけど、甘味より、ウチらと遊んでくれればええのにぃ」
「ほーんと、同じ抱かれるなら、男前がいいが」
きゃはははーっ と笑う女達は、
花街にいながらも、純粋に可愛らしい
ただの乙女に見えた。