第43章 煙 くゆりて 人 攫う
「美弥様、瑠璃様は私達が必ずお救い致しますから、大丈夫ですよ」
三成が優しく言って聞かせる。
美弥は俯いて膝の上で拳を強く握っている。
(私は何にも出来ないの…?)
唇を噛みしめる。
(役立たずっ…)
「小娘、自分を責める必要は無い。
お前の出番は我々が瑠璃を連れて帰ってからだ。
瑠璃の無事を信じて待て」
その言葉に、美弥は顔をあげ光秀を見た。
「…光秀さん…なん、で…」
涙が頬を伝った。
美弥が自責の念に駆られている事を
光秀はサラッと理解してやったのだ。
光秀は唇の端を上げて美弥の横を通り過ぎ、部屋を出て行った。