第6章 [つ] つよがりの先に
笑顔の先では駅前のイルミネーションが光り輝いている。子供みたいに駆け寄った茉莉の前には大きなツリー。オルゴールの音をBGMにしたそこは煌めく世界だ。
それは一人きりの時間に自分が思い描いたハッピーエンドの世界。短時間の間に強くはなれなかったけど、たった一人の大切な人を守りたいという想いだけは一層強くなって本物だって言える。
茉莉の帰る場所はこの先もずっと俺の隣でありますように…、柄にもなくそんな事を考えながら隣に並ぶ。
「もう一回言うけど、俺んとこに帰ってきてくれありがとな」
「ううん、私の方こそちゃんと待っていてくれてありがとう」
ねだるように触れた小さい手をそっと包んで、冷えた頬にキスを落とす。
“離れていても君を想う”
“繋いだ手を離さない”
聞こえてくるラブソングのようにそんなありきたりなフレーズが浮かんでくるけど、今はその言葉ひとつひとつを噛みしめては心を震わす。
二人でいられることが当たり前のようで当たり前ではないからこそ、たったひとつの守るべき存在の尊さを知る。
Fin.*