第1章 始まりは突然に

その後、クロは女部屋まで送ってくれた。
別れ際にもう一度キスされた。



私は、自分の気持ちすら整理できていない。


今までは、ただの幼馴染だと思っていたのに、あの一言で少なくともクロは幼馴染から変わろうとし始めた。


私だけが取り残されている。



「身辺整理が済むまでは、今まで通りな？ ちゃんとケジメ付けたらお前をオトす！」
「……ばか」



銃を打つジェスチャーまでするから、本当はドッキリでしたー的な展開も予想したけど「またな」とそのまま暗がりに消えていったクロに嘘ではないのだと痛感させられた。