第2章 願い
ご主人に差し上げるべく、座ったご主人の足と腕の隙間からスルリと入り込み、みゃおっと一鳴きすれば、相当ぼんやりしてたのか、どうした?と見てからゼロが笹の葉を咥えてる事に気が付いた。
「どうした、お前...この笹どこから...」
この辺りに笹なんかあったかな?と思考を巡らせれば、ゼロはみゃお、みゃおと訴えかけた。
「?ゼロ...俺にこれをくれるのか?」
そうです。
ご主人に差し上げます。
「てゆーか、これどっから持ってきたんだよ。」
ココさんに頂きました。
「......。」
...?
暫く見つめあった後で、ぶはっと笑いがこらえきれなくなって突如笑いだした彼に、ゼロはビクリと飛び上がりそうになった。
ご主人?いかがされましたか?
「あーー...疲れてんのかなぁ...ゼロが話せる訳ないのにな。」
...ご主人...。
「一度、お前と話せたらいいのにな。」
ゼロは...あまり家にいない俺に飼われて、どんな気持ちだ?
早くひとりになりたいか?
もし、そうだったら...
ふっと口許に優しい笑みを浮かべると、丸っこい瞳で見つめるゼロの頭を背中に沿うように優しく撫でた。
ゼロはその撫でられ方がとても心地よくて大好きで、スッと目を細め、そのまま主の膝に身を納め眠りに着いた。
ご主人、私は貴方の側を離れませんよ。
いつまでも貴方と共に一緒にいますからね。
いつまでも幸せな時間が続くと思っていた。
あの時までは。