第1章 出会い
この子があいつの言ってた新しい同居人か。
?
寝てる最中に耳に届いた優しい声に、ぴくりと耳を動かした。
誰でしょう?
ご主人ではないようですが、ご主人を知ってるようですね。
顔だけでも拝見しておきましょうかと、ゆっくり瞳を開けて、のそりと起き上がり顔を上げれば、ご主人とは肌の色が全然違う髪の毛がキラキラと太陽に照らされ、とても眩しい綺麗な男性が、ゼロを目を細めながら眺めていた。
「おっと、起こしてしまったか。
ごめんな、昼寝してたのに。」
スッと頭を撫でてくれた手はご主人のように大きく、とても暖かい人だった。
そのまま頭を三回程撫でてから、白い手袋をしているその手はゼロの顎をなぞり、首の下をこしょこしょとしてくれる。
この人、ご主人と同じ暖かい人だ。
暫くこしょこしょとされてたが、うっすら細めてた目をパッチリと開き相手を見つめた。
「どうした?」
ご主人のご友人ですよね。
これからもご主人を宜しくお願いします。
みゃおっと一鳴きするも、猫の言葉が通じる訳もなく、クスリと笑って、じゃあなと男性が出ていってしまった。
後ろ姿を玄関まで見送り、ゼロはもう一眠りするため毛布へと戻って行った。
ただ、ご主人の帰りをいつものように待つだけ。
しかし、幸せな時間は続かなかった...