第6章 白き手指で描かるる流線
その日、智は何時になく緊張した面持ちで、夕餉を口に運んでいた。
智の緊張の理由は、多くを語らずとも明白で…
そんな智の緊張を和らぐべく、翔は夕餉の後片付け勤しむ智を、そっと背中から抱き締めた。
「あっ…」
驚いた智の手から滑り落ちた茶碗が、木桶の中で綺麗に二つに割れた。
「気に入りでしたのに…」
割れてしまった茶碗を手に、恨めしそうに翔を見る智。
ところが翔は、割れてしまった茶碗には目もくれず、組紐で結わえた智の長い髪を指で梳き、白い項に唇を落とした。
「いけません、そのようなこと…」
身を捩り、どうにか逃げ出そうとするが、締め付ける腕の強さに、智の細く小さな身体が叶う筈もなく…
智はされるがまま、襟元から懐へと忍んで来た指に胸の先を甚振られ、裾を割って素肌を撫でる手に、火照り始めた身体を身悶えさせた。
やがて足にも腰にも力の入らなくなった智は、水甕の縁に両手を着き、やっとの思いで自身の身体を支えた。
翔に背を向け、尻を突き出す格好になった智は、今にも崩れそうな膝をもじもじと擦り合わせるが、容赦のない翔は智の着物の裾を腰まで捲り上げ、両足を自身の膝を使って開かせた。
「ああ…、ご無体な…」
智の訴えなど、翔の耳には全く届く様子もない。