第12章 荒ぶる昇竜と、乱華する牡丹
翔が発ち、久方振りのせいなのか、それとも翔とは違い、未熟過ぎる手技と、乱暴に打ち付ける腰のせいなのか…
潤の腰に跨る格好になった智の、長く艷やかな黒髪は、無数に吹き出す汗で肌に貼り付き、潤の腰に揺らされるままに波打った。
喘ぎと混じり合って吐き出される荒い息はぶつかり合い、互いの体温だけでなく、二人を包む空気までめ熱くした。
「凄いよ、あんた…。おいら、こんなの初めて…だ…」
仰け反る顎先を掴み、強引に顔を引き寄せた潤は、閉じることを忘れてしまったかのように喘ぎ続ける智の唇に、自身のそれを重ねた。
「わ、私…も…、んんっ…、初め…て…」
「え…?」
「とても、あ…ん…、気持ち…良い…」
「本当に…かい?」
あの人よりも…かい?
不意に口をついて出そうになる言葉を、智の紅潮した両頬を包むことで飲み込んだ。
そして自分を見下ろす熱い視線ら目を逸らすことなく、潤は思い切り強く腰を突き上げた。
「あ、あぁっ…、そのように強くされては、あ…、壊れてしまい…ます…」
口で言いながら、それでも智の腰は潤の突き上げに応じるかのように動き…
「狂ってしまい…そう…」
「良いさ、狂っちまいな…」
「あぁ…っ…」
荒い息を吐きながら、迫り上がって来る快感の波を、頭を振ることでやり過ごした。