第11章 闇 終
「問題ない。病気じゃない」
とサクモが言う。
「カカシは心配しすぎだ」
「そんなわけないでしょ。ぜったい病気だよ」
カカシは、嫌がるサクモを、木ノ葉病院へ 強引に連れて行く。
「鬱ではありませんね」
はっきりと、目の前に座る
白衣を着た男が言う。
「任務でのお疲れがたまっていたのでしょう。 お休みになられて、急に緊張の糸が切れたんじゃないですか? とにかく、問題ありませんね」
「ほらな、カカシの思い過ごしだ」
「だけど、父さん……、」
カカシは診断に納得できなかった。自分の父親の症状を、もう一度 事細かく、目の前に座る医師に伝えた。
食事を半分も摂らない。笑顔も少なくなり無表情だ。生きる気力を感じないし、ボーっとしている。なにより休みが終わっても、任務に行かない。外に出かけない。出かけても、父さんは墓参りばかりだ。
7歳のカカシは、必死に訴えた。子どもだろうが、素人だろうが、無知だろうが、異常だとわかった。父さんの様子がおかしい。
だれが見ても思うはずだ。それなのに、なんで誰もわからないんだ。なんで気づかないんだよ。
父さんは、無敵じゃないし、ロボットじゃない。どんなに強くたって、人間だよ。傷つくし悲しむ。当たり前なのに、なんでわからないの。なんで、誰も、わかってくれないんだ!
カカシは、医師の判断にひたすら首を振った。
弱りきった父さんが痛々しかった。
医師はメガネをあげる。
「サクモさんに限って、そんなことが あるわけないじゃないですかーー」
はははは、と笑う医師とサクモ。
なに笑ってんの。なに作り笑いしてんだよ!ちがう。なに考えてんだよ。
カカシは、怒りを通り越して呆れた。
なんで、我慢するんだよ。なんで、なんで、
弱い自分を見せれないんだ、父さんは!