第9章 闇 報告
三代目、猿飛は、キセルをふかし、
静かにカカシに聞いた。
「花奏の容態は、どうじゃ?まだ、苦しんでおるのか?」
猿飛は、緊急時と言えど、報告を受けてから、花奏が、気がかりであった。
他里から来た。だから身内も頼れる者もいない。
父をなくした、いま、天涯孤独だ。
猿飛は、どこか、いつも気にかけていた。
「家で、静かに眠っております」
カカシは顔を上げて、三代目に伝えた。表情が、ほんのすこし和らいでいた。
少し間を置いた三代目、猿飛は、カカシに聞こえるように、煙と共に大きく、息を吐いた。
「そうか……。 無事ならば、それでよい。 カカシ、頭を切り替えろ。今は花奏を忘れろ」
三代目は、キセルを蒸して言った。
カカシは「はい」と素早く言う。
やるしかない。もう、穏便に済む話ではない。
任務をする瞳にカカシは変える。
闇を灯し、覚悟を決めた。
「だいたいは、テンゾウから、先に話は聞いておる。 イタチとテンゾウがヤナギを追いかけておる。だが、まだ拘束したとの連絡は入っておらぬ」
その報告を聞き、下唇を思わず噛んだ。
ヤナギは強い。
カカシと同等か、それ以上の実力があった。
血継限界がヤナギにはある。
母親が雪ノ里出身だった。
だから氷遁が使える。
仲間としては、いつも頼もしかった。
敵となると、少々どころではない。
そうとう厄介だ。
血継限界は、
写輪眼を使っても
コピーできないのだから。
「まだ信じられぬ。ヤナギが毒を盛るとは……。そんなことをすれば、花奏がどうなってしまうか、わかるはずじゃが……」
三代目は、キセルを灰皿に、
トントン、と、考えをまとめるように置いた。