第23章 戦闘と平和の狭間
「カカシ…しかも少し前とか、笑えるでしょう?」
20歳までだれとも恋愛をしたことがなかった。恋に落ちたことがなかった。キスさえ、告白さえ、されたことがなかった。
全部、媚薬で侵されたあの日が
初めてだったんだよ。
「サスケ君は?」
7歳だから、これからだ。たくさん恋して、大事な人を見つけで家族を大切にして欲しい。クラスメイトの9割はサスケ君に夢中だった。美少女溢れるクラスメイト。サスケ君の未来は明るい。
「いるわけねーだろ」
と言って、サスケ君は目をつむる。人形みたいで長いまつ毛。黒髪が女の子みたいで可愛い。黙っていたら女子に間違われるかもしれない。
「サスケ君、おやすみなさい」
前髪をよしよしと撫でた。柔らかな髪。気持ちよかった。私も目を閉じた。やっぱりサスケ君がそばにいてくれて良かった。じんわり意識が遠のくのだから。
「花奏」
名を呼んだあと、寝返りすると思った。身体が動いたのだから。
ふにっと、なにかが当たった。
瞬間的に目を開いた。サスケ君の顔が目の前にあって、小さな口を横にするのだ。
「オレのファーストキス、やるよ」
暗いオレンジの光のなかで、サスケ君が目を逸らして、言った。
ファーストキスと。
「っー!!?? え、ちょ、ちょっと、いまのなし、カウントしないから!」
私は急いで自分の袖口を使い、サスケ君の唇をふいた。ダメだよ。いまのはちがうちがう!
「サスケ君、落ち着いて、だ、だ、ダメだよ、あのね、好きな人とチューはするものなの。わかった?ほら髪の毛のピンクの女の子とか、ああいう可愛い子とキスはするものなの」
私は両手で
小さなほっぺをぎゅっと挟んだ。
サスケ君はなぜか冷静だ。私が慌過ぎるのか、ずっと冷めてる。冷静だ。