第22章 葬儀と日常生活へ
予鈴と共に、ガラガラと音を立てて、教室の扉が開いた。
「ほら席につけよー、出席とるぞー」
教師が入ってきた。木ノ葉隠れ里の額当てを付け、深緑のベストに紺色の任服。肩には赤い渦丸。
顔中心には、横へ真っ直ぐ斬られた痕。長い焦げ茶の髪を1つ括り。手には教科書と巻物。
教壇に立つ姿が、とても爽やかで凛々しい。私は彼の4歳上の先輩だ。昔から教師になりたいと話していた。それが16歳という若さで、実現したようだ。
「イルカ先生ーー!」
いちばん前に座る黒髪の男の子が唐突に手をあげる。フードを被った後ろ姿。さっきのイジわるな男の子だ。
「なんだ、キバ。どうした?」
「ここに、フホウシンニュウシャがいるんだぜ!イルカ先生、捕まえてくれよ!」
キバが身を乗り出して、後ろの席の私を指をさした。やたら噛みつく。不法侵入だって?まあ、なんと、ひどい。
「イルカく…、ではなくて、イルカ先生お久しぶりです」
ゆっくり手を上げた。3代目から話は聞いてるはずだ。きっと私と話を合わせてくれるだろう。
「えっ…と、きみ、どこから来たんだい? 何組?」
「えっ」
ズッコケそうになった。
なんで気づかないのーー。私は椅子から立ち上がり、軽やかに前へ走った。となりに立ち、イルカ先生を小さく手招きした。
「イルカくん。花奏ですよ?今日は、サスケ君の護衛にきました。交換留学で来てることにしてくださいね?」
前屈みになったイルカ先生に、耳元で小声で喋った。考えてみれば、私は今7歳の姿だ。はたから見て、分かるはずない。
「…っ!! ああ、なるほど。花奏さんでしたか。すみません失念しておりました。分かりました、よろしくお願いします」
イルカ先生はすぐに生徒の方に向き、話を合わせて私を紹介してくれた。
さすがだ。
「花奏と言います。よろしくお願いします」
頭を下げた。パチパチと拍手。すぐに元の席に戻った。席に戻る途中、サスケ君の視線を感じた。私は目が合ったから笑ったのに、反対側にプイと顔を背けてしまう。
うう…ひどい。
昨夜は寝るまで、
手を握ってたのに。
でも、私が通り過ぎると、
また彼の視線を感じた。
よくわからない。