第14章 失ったもの
「……おかしいよ……おかしい!」
私は声を荒げた。
「あの事件は、私たちが7歳のときだよ? あれから13年経っているんだよ? あの子達が主犯格だとしたら……」
亡くなった2人は、
15歳と16歳だ。
「13年前の話になると、2歳と3歳の時に犯行したことになる。 そんなの不可能じゃない」
文を何度も読み返しても間違いない。ヤナギの執筆だ。改ざんされた箇所はない。
「……ああ。チャクラも仕草も何ら変化はない。いつ潜入されていたのかも把握出来ないな……。元の2人は、すでに殺害されている。 そう考えるのが正確だろうね」
カカシは顎に手をのせて考えこんだ。私は深い息を吐いた。なぜ気づかなかったのだろう。指導していたのに、情けない……。
「解剖結果に時間を強いられてる原因は、『変幻丸』っていうヤツのせいかもね」
カカシは報告書を私から受け取り、ポケットにしまった。頭をかいて視線を下にする。沈黙のあと、盛大に溜めた息を吐いた。
「カカシ……?」
影を落とした顔が見え、私は心配で声をかけた。
「……アイツね、……ヤナギは、俺を殺したかったはずでしょ?
じゃあね、どうして最後の文に、オレ宛のメッセージがある? 」
「……」
返事に詰まった。カカシは目を閉じ、とうとう靴棚に背中でもたれかかるよう、しゃがんでしまった。
「まるで……、オレが来る前提で書かれた文章だ。 ……アイツ……本気で殺す気だったのか? 意味がわからないよ……」
カカシはしばらくその場で立ち上がらず、手の甲で目を押さえて顔を下げていた。