第13章 その後
「オレは、……お前が死ぬかもと思ったら、本気で恐かったよ。 自分が死ぬ以上にね」
「……カカシ……」
「オレにとって、花奏はどれだけ存在が大きかったか、初めて知ったよ」
カカシは、そう言うと
コツンと、
私の肩口に額を当てて、
もたれかかる。
「そばにいてやれなくて悪かった……花奏……」
カカシの大きなため息が聞こえた。カカシはいつも飄々としていて、クールで、私に対してこんな風に、身体を任せてきたことはない。私はカカシの背中に軽く触れた。
「いいよ、気にしないで。だいじょうぶだよ。 ほら、結局なんにもなかったし……。私は、カカシが死ぬかもって思ったら恐かったよ……」
私がそう伝えて、ほんのりと笑ったとき、
カカシと目が合致する。
「花奏……キスしていい?」
口布を外したカカシは、そのまま顔を傾け、私に唇を重ねてくる。くちゅっ、くちゅ、と音が鳴る。
「……ん……カカシ……」
私はされるがままになっている。
「花奏……」
カカシは私が抵抗できないように
頬に両手を固定させる。
舌を絡めるような深いキスをしたあと、ゆっくり離れたカカシは、微笑んで口布をつけた。
「帰るか……。 これからは、いくらでも出来るしね」
「……はぃ?」
「花奏、ちゃんと掴まってろよ」
カカシが喋った瞬間、私の体はふわりと宙に浮く。
「え!? いくらでもって、なにを……って! だ、大丈夫だよ、歩けるって、恥ずかしいから止めてよ!」
足をバタバタしてるのに、カカシは我関せずみたいにスタスタ歩いていく。
「もっと恥ずかしいことオレとしちゃったじゃない、忘れたわけ?」
「っ!! ……あ、あれは……」
かぁ、と頬が熱くなる。カカシは目を細めて、目じりを下げる。
「ホラ、動いたら落とすよ?」
「っ!」
私は恥ずかしくて、顔が赤い。ぎゅっとカカシに掴まった。
「ビショビショじゃない、オレら。 早く帰って、いっしょにシャワー浴びて寝よ?」
「うん…………え"?」
いっしょに!?
意味が分からず、何度も帰り道、聞き返したのに、カカシは一切耳を貸さず私をお姫様抱っこして、アパートへ戻った。