第12章 闇 終焉の地
「カカシ……、俺の母さんは確かにスパイ活動をした。 だがなぁ、こっちも それなりに事情があったんだよ」
手と足を縄で縛りつけたカカシの背中を足蹴にして、ヤナギは静かに話し始める。
「俺の母さんの父親と母親は、つまり、俺の爺さんと婆さんは、ある日、一部の雪ノ里の忍に誘拐される。 つまり拉致監禁だ」
「……拉致監禁!?」
私は目を見開く。そんな話を聞いたことがないからだ。
ヤナギのお母さんはスパイだった。 そしてヤナギのお父さんは、家族で無理心中を強行した。
それ以外、
私は……なにも知らない。
カカシも黙ってきいている。
「この情報は……、三代目がカカシや花奏には言うなと、口止めしてたからな。まあ、最後まで聞いてくれよ」
ヤナギは薄く笑みを浮かべ
話を続けた。
「雪ノ里は、木ノ葉に援助を打ち切られてから、どん底の貧困生活を強いられる。
だから、木ノ葉にいる俺の母さんの親を拉致監禁した目的は、単なる金目当てだろう。援助を凍結された逆恨みもあったかもしれないがな。
雪ノ里の忍は、俺の母さんに
ある日、文を飛ばす。
実家はもぬけの殻だ。金銭は全て奪われた跡。ガラス窓は割られ、壁には血痕が残っている。
『木ノ葉隠れ里の情報を霧隠れの里へ売れ。 さもなくばお前の両親の残虐な姿を目にすることになる。 今日中に情報を引き出せ』
さらに文に
付け加えられた
注意事項があった。
『情報が外部に漏れた場合、
即座にお前の両親を始末する。 だれかに話した時点でも同様だ。 よく考えて行動しろ』
母さんは……
苦渋の選択を迫られる。
中忍レベルの実力では
雪ノ里の忍、十数人に
太刀打ち出来るわけがない。
時間は一刻を争う。
母さんは……心底恐ろしく身体が震えて立っていられなかった。腰を抜かし、床に膝を落とした。
文を見た時間は、もう日が落ちかけている。
このことは、
母さんの日記に書いてあった。
天井裏に隠されていたがな。
誰にも相談できない、誰も信用出来ない。みんなが敵に見える。 わたしがやらなければ、母や父が死んでしまう……。
バレなきゃ良いだなんて思ってない。
でも、もう時間がない。
ごめんなさい……許してください……