第12章 俺だけのもの*不知火匡[薄桜鬼]
「ちょっと!銃なんてズルくない!?」
私は屯所を襲撃してきた鬼の1人、不知火匡から逃げていた。
「別に、この銃じゃお前は死なねぇだろ。」
そんなこと言いながら、発砲する。
パンッ!
乾いた音から一瞬遅れて、足に痛みが走る。
「…っ!」
足がじんわり血でにじむ。
が傷口は一瞬で治る。
「痛いか?」
ニヤリと笑う不知火が不愉快で私は「痛くない!」と反射的に答える。
私がそう答えるのを待ってたようにもう一発撃ってくる。
いつもそうだ。
私が痛いと言うまで、やり続ける。
かと言って私も言いたくないから取りあえず逃げる。
「おっと、撤退か。…次会ったときまで待ってろよ?」
「誰が待つか、この変態っ!」
私の叫びは虚しく宙に溶けた。