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短編集  Dear my precious…

第6章 『家族』*百夜優一郎[終わりのセラフ]


私たちが知っていた世界は滅びた。
人間の手で。ウイルスによって。

そして今は吸血鬼たちが人間を家畜扱いする世界。

一部の人間が生き残り、吸血鬼を倒そうとしている。

…そんな世界。


そんな中であの日の夢を今でも見る。

あの日ー私は家族を失った。家族といっても同じ孤児院で育ったみんなのこと。親はいない。でも、それが私にとっての家族だった。

その日までは私たち家族は吸血鬼たちに家畜扱いされていた。子供の血は美味しいらしく貴族たちにも気に入られていた。

でも私達はそんな生活は嫌だった。だから人間界への道を見つけ、逃げ出した。

吸血鬼たちから逃げられるように裏をかいたつもりだった。でも本当は逆。罠にはめられたのは私たちの方だったんだ。

生き残ったのは私、百夜奏と優ちゃん、百夜優一郎だけ。

私は泣いた。幼い子供のように。

優ちゃんは黙って側にいてくれた。


人間界で私達は決意した。

吸血鬼を滅ぼすと。

…私は決意した。

もう二度と泣かないと。
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