第22章 本音*岩泉一[ハイキュー]
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(なにやってんだ、あいつ…!)
今日、体育館に入って真っ先に思ったことはそれだった。
それは部員全員が思っているだろう。
…及川のやつ、南に抱きついてやがる。
「奏ちゃん、及川さんの話聞いてよー!」
「聞くから!聞くから離れてよ!」
南が真っ赤になって抗議する。
「ただじゃ離してあーげーないっ!」
一瞬、及川と目があったような気がする。
一発殴ろうと一歩踏み出す。
「…ど、どうすればいいの?」
「奏が好きな人の名前言ってくれたらいいよっ☆」
「「は…っ?」」
その一部始終を見ていた部員が息をのむ。
俺も足が止まってしまった。
「…それ、言わなきゃダメ?」
いつも気丈な彼女の目が潤む。
その艶っぽい顔を直視出来なかった。
「うん、言わなきゃ離さない。」
ニコッと笑った及川にこれほど苛ついたことはない。
…南は及川が好きなのだろう。
真っ赤に染まった顔からそう思った。
(聞きたくない。)
でも足は動かない。
「私が好きなのは…」