第20章 余裕*御幸一也[ダイヤのA]
つき合ってはいるんだけど…
「よう、今日は暇かー?」
「また教えなくちゃいけなくて…」
勉強会のせいで全然2人きりになれないどころか、まともに話せない日々が何日も続いている。
流石に寂しくなってきた。
けど、部活のためだからと割り切る。
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テストも迫ったある日。
「…奏。」
振り返ると笑顔ではなく、真剣な…ちょっと怖い顔をした先輩がいた。
「…御幸先輩?」
どうしたのかと首を傾げる。
「…今日、俺の部屋に来い。」
有無を言わせないような迫力に戸惑った。
「…でも勉強が………っ!」
距離を詰められ、壁に押し付けられる。
「俺とあいつら、どっちが大切?」
意味ありげな笑いとシチュエーションに顔が赤くなるのを感じる。
「先輩…?どうしたんですか……?!」
「いいから答えろよ。」
呼吸も鼓動も伝わってしまいそうなくらい荒い。
全身の血液の流れを感じる。
「先輩に決まってるじゃないですか…っ!」
緊迫した雰囲気に耐えられなくなった私の目から涙が溢れた。