第16章 嘘と真実
そっと手を伸ばして、頬の傷に触れる。
あれからだいぶ経ってるけど、まだ薄っすらと傷が残ってる。
私の…本心は…
「あの時、名前を呼んでくれたのが、うれしかった…」
暴走してもなお、私の名前を呼んでくれた…
「好きだって言われてからずっと、平門のことを目で追ってた…」
冗談だと思ったけど、信じたいって思った…
「意地悪だけど、いつも傍にいてくれた平門が…好き…」
枷をつけられてから、伏せってることが多かったけど、
平門にからかわれたり、意地悪されたりして、表情だけは失わなかった…
「よく出来ました」
笑った平門は、額にキスをするとまた抱きしめてくれた。
~終わり~